ABLとファクタリングのコスト比較
資金調達手段として、ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)とファクタリングは
いずれも売掛金を活用する点で共通しています。
しかし、コスト構造や考え方は大きく異なります。
本記事では、ABLとファクタリングのコストを実務目線で比較し、
どちらが自社に適しているかを判断するためのポイントを整理します。
ABLとファクタリングの基本的な違い
まず前提として、ABLとファクタリングは仕組み自体が異なります。
- ABL:売掛金を担保に融資を受ける(借入)
- ファクタリング:売掛金を売却して資金化する(売却)
この違いが、コストの種類や水準に大きく影響します。
ABLのコスト構造
ABLの主なコストは、以下の要素で構成されます。
- 金利
- 事務手数料
- 担保評価・モニタリング費用
金利は年率で設定されることが多く、利用期間が長くなるほどコストが増加します。
一方、金利水準自体は比較的低めに抑えられる傾向があります。
また、担保管理や定期報告が必要となるため、
一定の管理コストが発生する点がABLの特徴です。
ファクタリングのコスト構造
ファクタリングでは、売掛金の買取手数料が主なコストとなります。
- 買取手数料(数%〜十数%)
- 事務手数料
この手数料は、売掛金額に対して一度だけ発生するのが一般的です。
そのため、短期間で資金化したい場合には、
金利換算すると高くなるケースが多い点に注意が必要です。
金利換算で見るコストの違い
ファクタリングの手数料は一見シンプルですが、
年率換算すると高い水準になることがあります。
例えば、2か月後に回収予定の売掛金を
10%の手数料でファクタリングした場合、
年率換算では大幅に高いコストとなります。
一方、ABLは年率ベースで金利が設定されるため、
長期的な利用ではコストを抑えやすい傾向があります。
利用期間による向き・不向き
ABLとファクタリングのコストは、利用期間によって評価が変わります。
- 短期の資金需要:ファクタリングが有利な場合
- 中長期の資金需要:ABLが有利になりやすい
一時的な資金ショートへの対応か、
継続的な運転資金の確保かによって選択が分かれます。
管理・運用コストの違い
ABLでは、売掛金台帳の整備や定期的な報告が求められます。
このため、社内の管理工数が一定程度発生します。
一方、ファクタリングは売却後の管理負担が軽い反面、
売掛先への通知方法や契約形態によっては
取引関係に配慮が必要なケースもあります。
信用・財務への影響
ABLは借入であるため、バランスシート上は負債として計上されます。
一方、ファクタリングは売掛金の売却となるため、
負債を増やさずに資金化できる点が特徴です。
ただし、継続的に利用する場合は、
実質的な資金調達コストとして慎重に判断する必要があります。
どちらを選ぶべきかの判断軸
ABLとファクタリングのどちらが適しているかは、
コストだけでなく、以下の点を踏まえて判断することが重要です。
- 資金調達の緊急性
- 利用期間の長さ
- 売掛金管理体制
- 取引先との関係性
まとめ
ABLとファクタリングは、同じ売掛金を活用する手法であっても、
コスト構造や適した利用シーンが大きく異なります。
短期的な資金需要にはファクタリング、
中長期の安定的な資金調達にはABLが向いているケースが多いといえます。
自社の状況に応じて、トータルコストで比較検討することが重要です。
