ABLのトータルコストの考え方
ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)を検討する際、
「金利が何%か」だけで判断してしまうと、実際のコスト感を誤ることがあります。
ABLは担保評価や継続的な管理を前提とする融資であるため、
金利以外の費用も含めたトータルコストで考えることが重要です。
本記事では、ABLのトータルコストの考え方を実務目線で整理します。
ABLのコストは「複数要素の合計」で決まる
ABLのコストは、単一の項目で構成されているわけではありません。
実務では、以下の要素を合算して判断する必要があります。
- 金利
- 初期費用(事務手数料・担保評価費用)
- 継続的な管理・モニタリング費用
これらを個別に見るのではなく、利用期間や資金使途を踏まえて総合的に評価することが重要です。
金利だけで判断すると起こりやすい誤解
ABLは担保を前提とするため、金利水準だけを見ると低く感じられることがあります。
しかし、短期間の利用では初期費用の影響が大きくなり、
想定以上のコストになるケースも少なくありません。
特に「一時的な資金繰り対策」として利用する場合は、
金利よりも初期費用の比重が高くなる点に注意が必要です。
利用期間別に見るトータルコストの考え方
短期間(数か月以内)の利用
短期間の利用では、事務手数料や担保評価費用といった初期コストが
トータルコストに占める割合が高くなります。
この場合、金利が低くても、実質的なコストが高くなる可能性があります。
短期利用では、他の資金調達手段と比較することが重要です。
中長期(半年〜1年以上)の利用
利用期間が長くなるほど、初期費用の影響は相対的に小さくなり、
金利水準がトータルコストに与える影響が大きくなります。
中長期で安定的に利用する場合、ABLはコスト面で有利になるケースがあります。
担保資産の内容がコストに与える影響
トータルコストは、担保資産の内容によっても変わります。
- 売掛金のみの場合:比較的コストは抑えやすい
- 在庫を含む場合:評価・管理コストが増えやすい
在庫を担保に含める場合は、評価やモニタリングに追加コストが発生する点を考慮する必要があります。
管理体制とコストの関係
ABLでは、売掛金台帳や在庫台帳の整備状況がコストにも影響します。
管理体制が整っていない場合、確認工数が増え、
結果として手数料や管理費用が高くなる可能性があります。
逆に、台帳管理や報告体制が整っている企業ほど、
リスクが低いと判断され、条件が改善されやすくなります。
他の資金調達手段とのトータルコスト比較
ABLのトータルコストを判断する際は、他の資金調達手段と比較する視点も重要です。
- 銀行融資:金利は低いが審査が厳しい
- ABL:担保前提でバランスの取れたコスト
- ファクタリング:短期では有効だが年率換算で高くなりやすい
単純な金利比較ではなく、利用目的と期間に応じた評価が必要です。
トータルコストを正しく把握するための実務ポイント
ABLのトータルコストを正しく把握するためには、以下を事前に確認しておくことが重要です。
- 発生する費用項目と金額
- 費用が発生するタイミング
- 利用期間を想定した総額
契約前にこれらを整理することで、「思ったより高かった」という事態を防ぐことができます。
まとめ
ABLのコストは、金利だけでなく初期費用や管理費用を含めたトータルで考える必要があります。
利用期間、担保資産の内容、管理体制によって実質的なコストは大きく変わります。
ABLを検討する際は、自社の利用目的に合った期間と条件を想定し、
他の資金調達手段と比較しながら判断することが重要です。
