ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)は、すべての企業にとって最適な資金調達手段というわけではありません。ABLは事業資産を担保にする特性上、向いている企業とそうでない企業が明確に分かれます。本記事では、ABLの導入に適した企業の特徴や、導入前に確認すべきポイントを実務目線で解説します。
ABLの本質は「事業回転型の資金調達」
ABLは、売掛金や在庫といった流動資産を担保に、事業の回転に合わせて融資枠が変動する資金調達手法です。固定的な担保評価に依存する従来融資とは異なり、日々の事業活動そのものが評価対象になります。
そのため、事業の回転が安定している企業ほどABLとの相性は良く、逆に回転が不安定な企業では管理負担が増える可能性があります。
ABL導入を進める前に、基本的な仕組みと注意点を整理しておきましょう。
ABLが向いている企業の共通点
売掛金取引が安定している企業
ABLの中心的な担保は売掛金です。取引先が分散しており、回収遅延が少ない企業は高い評価を受けやすくなります。特定の取引先に依存していないことも、リスク低減の観点から重要です。
在庫回転率が良好な企業
在庫を担保に含める場合、回転率の高さが重要になります。製造業や卸売業など、在庫管理が事業の中核となっている企業ではABLが有効に機能しやすい傾向があります。
成長フェーズにある企業
売上拡大に伴って運転資金が増加する成長フェーズの企業にとって、ABLは事業成長に連動した資金調達手段となります。売上増加=融資枠拡大という構造は、成長企業との親和性が高いといえます。
不動産担保を持たない企業
創業間もない企業や、資産を持たない企業にとって、不動産担保を前提としないABLは有力な選択肢となります。
ABLが向かない企業の特徴
売掛先の信用が不安定
売掛先の信用力が低い場合、担保評価は大きく下がります。取引実績が浅い、財務状況が不透明といったケースではABL導入が難しくなることがあります。
在庫管理・帳簿管理が不十分
ABLでは、定期的な報告や資料提出が求められます。帳簿と実態が乖離している場合、金融機関からの信頼を得ることは困難です。
資金繰り改善だけを目的としている
ABLは一時的な資金繰り改善策として導入すると、かえって管理負担が増す可能性があります。事業改善や成長戦略と併せて活用することが重要です。
中小企業にとってのABLの位置づけ
中小企業にとってABLは、「銀行融資の代替」ではなく「補完的な資金調達手段」として位置づけるのが現実的です。銀行融資、ファクタリング、ABLを組み合わせることで、資金調達の柔軟性が高まります。
ABL導入前に確認すべき実務ポイント
- 売掛金・在庫の管理体制は整っているか
- 定期報告に対応できる人員がいるか
- 資金調達コストを把握しているか
ABL導入を進める前に、基礎知識と注意点を整理しておきましょう。
まとめ
ABLは、事業資産を活かした柔軟な資金調達手段であり、条件が合えば非常に有効です。一方で、管理体制や事業の安定性が求められるため、自社の状況を冷静に見極めたうえで導入を検討する必要があります。

