ABLの審査基準とは?
ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)は、企業が保有する売掛金や在庫などの流動資産を担保として行われる融資手法です。
一般的な銀行融資とは審査の考え方が異なり、「企業の決算内容」だけでなく「担保となる資産の質」が重視されます。
本記事では、ABLにおける審査基準について、実務で実際に見られるポイントを中心に詳しく解説します。
ABL審査の基本的な考え方
ABL審査の最大の特徴は、「企業の信用力」よりも「担保資産の回収可能性」を重視する点にあります。
これは、融資の返済原資を売掛金や在庫の回収・換金に求めるためです。
そのため、ABLでは以下のような企業であっても審査対象となる可能性があります。
- 直近の決算が赤字である企業
- 銀行融資の審査に通りにくい企業
- 設立年数が比較的浅い企業
ただし、担保資産に問題がある場合や、管理体制が不十分な場合は、ABLであっても審査は厳しくなります。
審査で最も重視される「売掛金」の評価
ABL審査において、最も重要な評価対象となるのが売掛金です。
単に「売掛金があるかどうか」ではなく、その中身が細かく確認されます。
売掛先の信用力
売掛先がどのような企業かは、審査結果に大きく影響します。
一般的に、以下のような売掛先は高く評価されやすい傾向があります。
- 上場企業や大手企業
- 長年取引が継続している企業
- 支払い遅延の実績がない企業
一方で、売掛先が個人事業主や経営基盤の弱い企業に偏っている場合、回収リスクが高いと判断されやすくなります。
売掛金の回収サイト
回収サイト(入金までの期間)も重要な判断材料です。
回収サイトが短く、一定であるほど、担保としての評価は高くなります。
逆に、回収サイトが不規則であったり、極端に長い場合は、審査上マイナスに働く可能性があります。
売掛金の分散状況
売掛金が特定の1社に集中している場合、その売掛先に問題が生じた際のリスクが大きくなります。
そのため、売掛先が複数社に分散している方が、審査上は有利です。
在庫を担保とする場合の評価ポイント
ABLでは、売掛金だけでなく在庫が担保対象となるケースもあります。
ただし、在庫は売掛金よりも評価が慎重になりやすい資産です。
在庫の換金性
在庫がどの程度容易に換金できるかが重視されます。
具体的には以下の点が確認されます。
- 商品としての市場性があるか
- 陳腐化・劣化のリスクが低いか
- 在庫回転率が極端に低くないか
オーダーメイド品や専用品など、汎用性の低い在庫は評価が下がる傾向にあります。
企業の財務状況も補助的に確認される
ABLは担保重視の融資ですが、企業の財務状況が完全に無視されるわけではありません。
以下のような点は、補助的な判断材料として確認されます。
- 売上高の推移
- 資金繰りの状況
- 過去の返済履歴
特に、著しく資金繰りが悪化している場合や、短期間で急激な業績悪化が見られる場合は、慎重な審査が行われます。
管理体制と書類整備の重要性
ABLでは、担保資産を継続的に把握・管理する必要があるため、企業側の管理体制も重視されます。
具体的には、以下のような点が確認されます。
- 売掛金台帳・在庫台帳が整備されているか
- 定期的な報告が可能か
- 数字の整合性が取れているか
帳簿管理が不十分な場合、担保評価以前に審査が進まないケースもあります。
ABL審査は「総合判断」で決まる
ABLの審査は、単一の基準で可否が決まるものではありません。
売掛金や在庫の質、回収可能性、企業の管理体制などを総合的に評価して判断されます。
そのため、ABLを検討する際は、自社の売掛金や在庫の状況を事前に整理し、どの点が評価されやすいかを把握しておくことが重要です。
まとめ
ABLの審査基準は、銀行融資とは異なり、担保となる資産の質と管理体制が大きな比重を占めます。
赤字企業であっても利用できる可能性がある一方で、売掛金の内容や管理状況によっては審査が難しくなる場合もあります。
ABLを有効に活用するためには、自社の資産状況を正しく把握し、実務面での準備を整えることが不可欠です。

