ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)は、事業資産を担保にした柔軟な資金調達手段ですが、導入までの流れを正しく理解していないと、想定以上に時間や手間がかかることがあります。特に初めてABLを利用する企業にとっては、どのような準備が必要で、どの段階で何が求められるのかを把握しておくことが重要です。
ABL導入を進める前に、基本的な仕組みと注意点を整理しておきましょう。
本記事では、ABLの申込みから融資実行までの一般的な流れを、実務視点で段階的に解説します。ABL導入を検討している企業が、スムーズに手続きを進めるための全体像を整理します。
STEP1:事前相談・初期ヒアリング
ABL導入の最初のステップは、金融機関やノンバンク系事業者への事前相談です。この段階では、ABLが自社に適しているかどうかを大まかに確認します。
主に確認されるポイントは以下の通りです。
- 事業内容・業種
- 売上規模・取引先の状況
- 売掛金や在庫の有無
この時点でABLが適さないと判断されるケースもありますが、条件が合えば次のステップへ進みます。
STEP2:必要資料の提出
次に、具体的な審査に向けて各種資料を提出します。ABLでは、担保資産の内容を正確に把握するため、通常の融資よりも詳細な資料が求められます。
代表的な提出資料には以下のようなものがあります。
- 直近2〜3期分の決算書
- 試算表(月次)
- 売掛金一覧表(売掛先別・回収期日付き)
- 在庫一覧表
これらの資料が整理されていない場合、審査に時間がかかるため、事前準備が重要になります。
STEP3:担保資産の評価・実地確認
提出資料をもとに、金融機関は担保となる売掛金や在庫の評価を行います。売掛先の信用力、回収実績、在庫の回転率などが詳細に確認されます。
場合によっては、実地調査(オンサイトチェック)が行われることもあります。これは、帳簿上の数字と実際の在庫や管理状況が一致しているかを確認するためです。
STEP4:審査・融資条件の提示
担保評価が完了すると、金融機関は総合的な審査を行い、融資条件を提示します。この段階で提示される主な条件は以下の通りです。
- 融資限度額
- 金利
- 手数料
- 担保掛け目
条件に納得できない場合は、交渉や他社との比較を行うことも可能です。
STEP5:契約締結
融資条件に合意すると、ABL契約を締結します。契約書には、担保管理方法や報告義務、違反時の対応などが詳細に記載されています。
契約内容は実務に大きな影響を与えるため、専門家に確認してもらうことも検討すべきでしょう。
STEP6:融資実行
契約締結後、指定された口座に融資金が実行されます。初回実行後も、売掛金や在庫の状況に応じて追加融資や返済が行われます。
導入後の運用と注意点
ABLは導入して終わりではありません。定期的な報告、担保管理、金融機関との情報共有が継続的に求められます。これらを怠ると、融資枠の縮小や契約解除につながる可能性があります。
まとめ
ABL導入の流れは明確ですが、準備不足や理解不足があるとスムーズに進みません。事前に必要資料を整備し、流れを把握したうえで臨むことで、ABLを有効な資金調達手段として活用することができます。

