ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)を検討する際、多くの経営者や財務担当者が最初に疑問に感じるのが「どの資産が担保として評価されるのか」という点です。ABLは不動産担保に依存しない融資手法ですが、その分、担保となる資産の中身や評価方法が融資条件を大きく左右します。
本記事では、ABLで担保として扱われる代表的な資産である「売掛金」と「在庫」を中心に、その評価基準や注意点を詳しく解説します。ABL導入を検討するうえで、実務的な理解を深めることを目的としています。
ABL(売掛金担保融資)の基本については、以下の記事もあわせて参考になります。
ABLにおける担保の考え方
ABLの最大の特徴は、企業が日常的に保有・運用している流動資産を担保として評価する点にあります。ここでいう流動資産とは、短期間で現金化が可能、もしくは事業活動を通じて現金に変わる資産のことを指します。
金融機関は、これらの資産が「確実に回収・換金できるか」「価値が安定しているか」という観点から評価を行い、その評価額に一定の掛け目をかけて融資可能額を算定します。
売掛金が担保として評価される理由
売掛金は、ABLにおいて最も一般的かつ重要な担保資産です。売掛金とは、商品やサービスを提供した後、まだ回収されていない代金のことを指します。
売掛金が担保として評価されやすい理由は、以下の点にあります。
- 回収期限が明確である
- 取引実績に基づく信用判断が可能
- 現金化までの期間が比較的短い
特に、売掛先が大手企業や信用力の高い企業である場合、売掛金の評価は高くなりやすく、融資条件も有利になる傾向があります。
売掛金評価で重視されるポイント
売掛金がすべて同じように評価されるわけではありません。金融機関は、以下のような観点から売掛金の質を判断します。
売掛先の信用力
売掛先が上場企業や長年取引のある企業であれば、回収リスクが低いと判断されます。一方、取引開始から間もない企業や財務状況が不安定な企業の場合、評価は低くなります。
回収サイト
売掛金の回収期間が短いほど、評価は高くなります。一般的には、30日〜60日以内の売掛金が好まれる傾向にあります。
過去の回収実績
過去に遅延や未回収が多い場合、売掛金全体の評価が下がる可能性があります。
在庫が担保になるケースと注意点
在庫もABLにおける担保資産として用いられることがありますが、売掛金と比べると評価は慎重に行われます。在庫は売却しなければ現金化できないため、市場性や回転率が重要な評価要素となります。
評価されやすい在庫の特徴
- 回転率が高い商品
- 汎用性が高く市場性がある
- 保管状態が良好
逆に、長期間動いていない滞留在庫や、特定顧客向けの専用品は評価が低くなる傾向があります。
在庫評価で見られるポイント
在庫を担保とする場合、金融機関は以下の点を確認します。
- 在庫の数量・種類
- 仕入原価と販売価格
- 在庫管理体制(棚卸の頻度など)
帳簿と実在庫が一致していない場合、評価が大きく下がる可能性があるため注意が必要です。
売掛金・在庫以外の担保資産
ケースによっては、機械設備や動産が担保として認められることもあります。ただし、日本では評価や換金の難しさから、売掛金・在庫ほど一般的ではありません。
担保評価が下がる主な要因
ABLにおいて担保評価が下がる要因として、以下のような点が挙げられます。
- 売掛先の信用悪化
- 回収遅延の増加
- 在庫の滞留
- 管理資料の不備
ABLは導入後も継続的な管理が求められる融資であることを理解しておく必要があります。
まとめ
ABLでは、売掛金や在庫といった事業資産の質が融資条件を大きく左右します。特に売掛金の信用力と回収状況、在庫の回転率と管理体制は重要な評価ポイントです。
ABLを有効に活用するためには、日頃から資産管理を徹底し、金融機関に対して透明性の高い情報提供を行うことが不可欠です。
本記事は、一般的な金融実務情報および公開資料をもとに作成しています。
ABL(売掛金担保融資)の利用可否や条件は、企業の財務状況や金融機関ごとに異なります。
実際の導入にあたっては、金融機関・専門家へ直接ご相談ください。

