ABLにおける銀行とノンバンクの審査の違い

ABLにおける銀行とノンバンクの審査の違い

ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)は、銀行だけでなくノンバンク(貸金業者・リース会社・専門金融会社)も提供しています。 同じABLであっても、提供主体が銀行かノンバンクかによって、審査の考え方やスピード、条件には違いがあります。 本記事では、実務でよく見られる銀行ABLとノンバンクABLの審査の違いを整理します。

銀行とノンバンクで「審査の前提」が異なる

銀行とノンバンクでは、ABLに対する基本的なスタンスが異なります。 この違いは、審査基準や条件設定にそのまま反映されます。

銀行は、従来の融資業務の延長としてABLを位置づける傾向があります。 一方、ノンバンクは、担保評価を中心とした商品としてABLを捉えるケースが多いのが特徴です。

銀行のABL審査の特徴

企業全体の信用力を重視する傾向

銀行のABL審査では、売掛金や在庫といった担保資産を評価しつつも、 企業全体の信用力や財務状況も重視されます。

具体的には、以下の点が併せて確認されるケースが一般的です。

  • 直近の決算内容
  • 自己資本比率
  • 既存借入の状況
  • 取引銀行としての関係性

そのため、担保資産の評価が良好であっても、財務状況が著しく悪い場合は慎重な判断がなされます。

審査・手続きに時間がかかりやすい

銀行のABLは、内部稟議や複数部門での確認が必要となるため、 審査期間が比較的長くなる傾向があります。

特に初めてABLを利用する場合、通常の融資と同様のプロセスを踏むため、 スピード重視の資金調達には向かないケースもあります。

金利・コストが比較的低い

銀行ABLのメリットとして、金利や手数料が比較的低水準に抑えられる点が挙げられます。 長期的な資金調達を目的とする場合には、コスト面で有利になる可能性があります。

ノンバンクのABL審査の特徴

担保資産の評価を最優先

ノンバンクのABL審査では、企業の決算内容よりも、 売掛金や在庫といった担保資産の質が最優先される傾向があります。

赤字企業や銀行融資が難しい企業であっても、 担保資産の回収可能性が高ければ審査対象となるケースがあります。

審査スピードが比較的早い

ノンバンクは、意思決定プロセスがシンプルな場合が多く、 審査から融資実行までのスピードが比較的早い傾向があります。

短期間で資金を確保したい場合には、ノンバンクのABLが選択肢となることがあります。

コストは高めになる傾向

一方で、ノンバンクのABLは、銀行に比べて金利や手数料が高めに設定されることがあります。 これは、リスクを担保評価で吸収しているためです。

そのため、短期的な資金需要か、長期的な利用かによって判断が分かれます。

審査スタンスの違いを比較

項目 銀行 ノンバンク
重視する点 企業信用+担保 担保資産中心
審査スピード 比較的遅い 比較的早い
金利・手数料 低め 高め
赤字企業対応 慎重 柔軟

どちらを選ぶべきかの判断軸

銀行とノンバンクのABLは、優劣ではなく「目的」によって選ぶべきです。

  • コストを抑えたい、長期利用を想定 → 銀行ABL
  • スピード重視、銀行融資が難しい → ノンバンクABL

また、将来的に銀行ABLへ切り替える前提で、 一時的にノンバンクを利用するという考え方もあります。

まとめ

ABLは同じ仕組みであっても、銀行とノンバンクでは審査の考え方や条件が異なります。 自社の資金ニーズ、財務状況、担保資産の内容を踏まえたうえで、 どちらが適しているかを検討することが重要です。