赤字企業のABL審査ポイント
ABL(Asset Based Lending/売掛金担保融資)は、企業の売掛金や在庫などの流動資産を担保として行われる融資手法です。
その特性から、会計上赤字の企業であっても審査対象となる可能性があります。
本記事では、赤字企業がABLを検討する際に、実務で実際に見られる審査ポイントを整理します。
赤字でもABLが検討対象となる理由
一般的な銀行融資では、利益水準や自己資本比率などの財務指標が重視されるため、赤字企業は不利になりがちです。
一方、ABLは返済原資を担保資産の回収・換金に求めるため、損益計算書上の赤字だけで可否が決まるわけではありません。
重要なのは、売掛金や在庫が安定的に発生し、実際に回収・換金されているかという点です。
赤字企業のABL審査で重視されるポイント
売掛金の安定性と回収実績
赤字企業の場合、まず確認されるのが売掛金の安定性です。
以下の点が重点的にチェックされます。
- 継続的に売上が発生しているか
- 売掛金の回収遅延や不履行が発生していないか
- 売掛先の信用力が十分か
たとえ赤字であっても、売掛金が定期的に発生し、回収実績が良好であれば、担保として一定の評価を得られる可能性があります。
赤字の要因と一時性
審査では「なぜ赤字なのか」という点も重要です。
- 一時的な投資や設備導入による赤字
- 原材料高騰など外部要因による利益圧迫
- 恒常的な収益構造の問題
一時的な要因による赤字であれば、将来的な改善余地があると判断されやすくなります。
一方、構造的な赤字が続いている場合は、慎重な評価が行われます。
資金繰りとキャッシュフロー
赤字企業であっても、実際の資金繰りが安定しているかは重要な判断材料です。
営業キャッシュフローが極端に悪化していないか、資金ショートの兆候がないかが確認されます。
ABLでは、会計上の利益よりも「現金が回っているか」が重視される傾向があります。
在庫を担保とする場合の注意点
赤字企業が在庫を担保としてABLを利用する場合、評価はより慎重になります。
在庫の換金性と管理状況
在庫については、以下の点が確認されます。
- 市場性があり、第三者への売却が可能か
- 陳腐化や劣化のリスクが高くないか
- 在庫台帳が正確に管理されているか
専用品や滞留在庫が多い場合、担保評価は低くなる可能性があります。
管理体制が審査結果を左右する
赤字企業のABL審査では、資産管理体制の整備状況が特に重視されます。
- 売掛金台帳・在庫台帳が整っているか
- 定期的な報告に対応できるか
- 数字の整合性が取れているか
管理体制が不十分な場合、担保価値以前に審査が進まないケースもあります。
銀行とノンバンクでの評価の違い
赤字企業の場合、銀行とノンバンクで評価姿勢が異なることがあります。
銀行は慎重な姿勢を取る傾向がある一方、ノンバンク系のABLでは、担保資産をより重視するケースもあります。
ただし、その分コストや条件が異なる場合があるため、総合的な判断が必要です。
まとめ
赤字企業であっても、ABLは現実的な資金調達手段となる可能性があります。
重要なのは、売掛金や在庫の質、回収実績、そして管理体制です。
ABLを検討する際は、自社の赤字要因を整理し、資産状況を客観的に把握したうえで検討することが重要です。
